背景
近年、人口増加が進んでおり、現在の60億人から90億人になるといわれており、食料の需要は増えています。
しかし、地球環境は温暖化や砂漠化も進んでおり、食糧を育てる土地が減っていることが問題となっています。
これは国連のSDGs No.2でも目標と掲げられているとおり、世界の共通の課題となっています。砂漠化だけでなく、異常気象などにより農作物に与える影響もあり、食糧の安定的な確保は、より難しくなってきています。
食糧の確保の課題
食糧としては、第一次産業として農業、漁業、畜産などがありますが、気候変動は、最初に農業・漁業などに影響が出てきます。農業への影響は、農作物を飼料とする畜産業にも影響がでます。
農作物の不作は、飼料の高騰を招くだけでなく、人間の食糧と飼料とのバランスにより、飼料不足になり畜産が行えなくなるります。飼料不足の原因となるのは、農作物の不足だけでなく穀物の需要の増加も影響します。
穀物は食糧、飼料以外にも様々な用途での需要があります。大豆はインクなどにも使用され、サトウキビやとうもろこしはバイオエタノールなどの燃料など、食用以外の用途で使用されることで、不足に拍車がかかっています。
水不足に陥る国や、食糧不足に陥る国が多い中で、飼料の輸出を制限する国もでてきております。
国 | 制限内容 | 禁止日 |
---|---|---|
ブラジル | 政府米の輸出禁止 | 2008年 |
ボリビア | 小麦、とうもろこしの輸出禁止 | 2008年 |
バングラディシュ | 米の輸出禁止 | 2008年 |
インドネシア | 米の輸出禁止 | 2008年 |
ネパール | 米、小麦の輸出禁止 | 2008年 |
インド | 小麦、米、とうもろこしの輸出禁止 | 2007年、2008年 |
パキスタン | 小麦の輸出禁止 | 2008年 |
エジプト | 米の輸出禁止 | 2008年 |
タンザニア | 食用作物の輸出禁止 | 2008年 |
今後も輸出の規制は増える方向になっているため、国内で生産される穀物などが非常に重要になっています。
注目される昆虫食
このような社会課題を解決するために、昆虫食というものが注目されています。注目されている理由としては、可食部1Kgあたりに必要な資源などが少なくて済むと言うところにあります。
可食部1Kgあたりに必要な水の量は、コオロギでは4Lになりますが、鶏は2300Lと575倍もの水が必要になります。豚は875倍、牛に至っては5500倍の水の量が必要になります。
飼料についても、コオロギと比較して、鶏では1.5倍、豚では3倍、牛では6倍近い飼料が必要になるため、穀物自体が不足した場合には昆虫を育てることが非常に効率が高いと考えられています。
このような背景から昆虫食の注目が高まっており、今後の需要などが伸びると予想されています。
次回は昆虫食の課題、市場規模、現在の市場状況、ビジネス化の動向などをレポートする予定です。